ここからの時間は予定を変更して、誰かの話です。

とにかく主体性の無い人で、5分前に誰かが話したことをそのまま話して、それを自分が考えた事なんだと胸を張って疑わないような人だった。多分おそらくは頭が著しく悪いんだと思うのだが、本人にそのつもりは無いようなので周りも表だってそれを指摘することは無かった。話している途中で梯子を外されて、寄る辺も無く話を続けられずに狼狽していることもたまにあったが、それでも態度を改めることはなかった。そんな調子だから日によって全く逆のスタンスで話を進めることもしばしばで、人となりをよく知らない人は冗談でやっていると思い違うこともまたしばしばだったし、実際に冗談でやっていることも多かった。冗談でやっているのだが、冗談のつもりが無いときと、さして変わりもなかった。要するに人を食ったような話し方しか出来ない人なのだった。悪気は無いことも明らかだったが、決して善人だったわけではなく、悪気が感じられないくらい頭が悪い事が明らかなだけだった。真面目に話すように忠告する者も居たが、何故忠告されるのか分からない、と心底不思議そうな顔されるのを見てすぐに諦めるのが常だった。その諦めた顔を見て、なんで諦めた顔をするのか分からないと口に出してしまうような人だった。思ったことは全て口に出さなければ気が済まないが、立ち止まって考えることは絶対にしない人だった。